2022年4月28日木曜日

児童文化研究センター第5回書評コンクールのお知らせ

 

 第5回書評コンクールを開催いたします。
 児童書、絵本、ヤングアダルト文学、ライトノベル、または関連する研究書などの書評を書いて、児童文化研究センターまでお送りください。お送りいただいた書評はブログにて公開し、構成員の皆様の投票により、優秀作品を決定いたします。
 センター構成員であれば、どなたでもご参加いただけます。ふるってご応募ください。
 

【応募要項】

応募資格:応募時点で白百合女子大学児童文化研究センターの構成員であること

書評の分量:8001200

応募方法:Wordファイルで作成した書評を、センター宛てのメールに添付して送信

送り先: jido-bun@shirayuri.ac.jp

メール本文には次のことを記載してください。

1. 応募者氏名(ペンネームでも可。本名に併記してください)

2. 応募区分(学生/一般/教職員/その他から一つ選んで記入してください)

3. 取り上げる本の書誌情報(タイトル・著者名・訳者名・出版社・出版年など)

4. 冊子収録の可否(在学院生および翌年の新入院生に配布)

応募締め切り 526日(木)正午

※構成員の投票により、優秀賞を決定します。投票方法については、追ってお知らせします。

センター閉室のお知らせ

 児童文化研究センターは、4月29日(金)から5月5日(木)まで閉室とさせていただきます。
 ご不便をおかけいたしますが、なにとぞご了承くださいませ。

どうぞお身体にお気をつけて、
楽しい休日をお過ごしください。


ミニ展示 4月28日~5月18日

センター入り口で、センター蔵書のミニ展示を行っております。

展示中の本

『おはなしは気球にのって』

ラインハルト・ユング 著 若松宣子 訳 

早川書房 2002

 こちらの図書は展示期間中も貸し出しをすることができます。どうぞお気軽にご利用ください。

イメージを散歩する

(6)展覧会とアーティスト・トーク


先月から、東京都現代美術館でTokyo Contemporary Art Award 2020-2022受賞記念展が開催されている。TCAAと略されるこの賞は、中堅のアーティストを支援することを目的としたもので、2020年度から2022年度の受賞者である藤井光さんと山城知佳子さんの作品を、入場無料で観ることができる。また、このお二人のアーティスト・トークもそれぞれ企画されており、私は423日(土)の藤井さんと河田明久さん(美術史家・千葉工業大学教授。この展示では、メモランダムの状態のドキュメントを作品の一部となる会話音声のシナリオへと再構成する作業を担当している)が登壇する回に申し込んだ(※)。
 藤井さんの作品は、過去の歴史的な展覧会を再現したものと、音声とスライドとを組み合わせたインスタレーションだった。再現されていた展覧会は1946821日から92日に上野の東京都美術館で開催され、占領軍関係者だけが入場を許された「日本の戦争美術展」。板や梱包材などの廃材で作った平面で戦争画のサイズを再現し、ただし、そこに描かれた絵柄は再現せずにキャプションをつけておいて、当時の日本人が目にすることのできなかった展覧会を再構成している。キャプションの言語は英語がメインで、英文表記の作品情報の下に日本語表記が続く。私たちが国内の美術館で日ごろ目にしているものとは逆の順番である。
 そして、居並ぶ「見えない絵」の向こう側では、アメリカの国立公文書館に保管されていた資料から取り出されたイメージをもとにしたスライド資料が映し出され、男の人たちの声が電話で会話している。ここには、日本の従軍画家たちが描いた戦争の絵の扱いに戸惑うアメリカ軍関係者の様子が再現されている。彼らは困っていた——これらの絵が連合国軍にとっての「戦利品」であるならば、勝った国どうしで分配しなければならないし、プロパガンダの道具にされたものであるならば、廃棄しなければならない。芸術なのか? それとも、プロパガンダなのか?(※※)
 ところで、トークイベントは質疑応答があるところが面白いのだが、そのなかで観客の一人が、横山大観が絵を売ったお金を軍に寄付し、それにより戦闘機が購入されたというエピソードに触れながら、登壇者に質問をしていた。そのやりとりを聞きながら、私は紙芝居『貯金爺さん』のことを思わずにはいられなかった。
 
 個人的には、戦争画と戦争児童文学の、それぞれのジャンルの成り立ちを比較してみたい気持ちがあるのだけれど、それをするにはもっと勉強しなければ。続きはゴールデンウィークの自由研究ということにしたい。
 
【付記】
 ここには藤井さんの作品展示についてしか書かなかったけれど、もう一人の受賞者である山城さんは2020年に東京藝術大学で開催された「彼女たちは歌う」展の参加アーティストでもある。お客さんの多さに困惑したとぼやきながらもこの展覧会を絶賛していた熊沢健児氏からは、《チンビン・ウエスタン 家族の表象》(2019)について、「歌が印象的だった」と聞かされていた。ずっと観てみたかったこの作品が、この展覧会の展示作品の一つとなっていることを知ったとき、とても嬉しかった。

最近お疲れ気味の熊沢氏。
「連休で体力を取り戻したら研究に精を出したい
(まずは寝かせて)」とのことです。
熊沢氏は児童文化研究センターの名誉研究員(ぬいぐるみ)である。彼は一昨年の展示で、身体の小さなぬいぐるみであるのをいいことに、展示室の隅に隠れてこの作品をなんと合計4回も鑑賞していたらしい。人間である私はそういうわけにもいかないので、1回だけ集中して観たのだけれど、熊沢氏の言うとおり歌声が非常に印象的だった。沖縄を取り巻く複雑な状況が根底にある作品だが、非常に力強くもある。山城さんのアーティスト・トークは522日に予定されている。


 
【展覧会情報】
Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022受賞記念展
会場 東京都現代美術館企画展示室3
会期 2022319日(土)-619日(日)

こちらの展覧会情報は東京都現代美術館ホームページの展覧会のページから抜き書きしたものです(https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/)。詳細は、美術館とTokyo Contemporary Art Awardのホームページに掲載されています。
 
※このブログ記事は、アーティスト・トークのときに書きつけたメモを、インターネット上の記事「「プロパガンダと芸術の境界線、戦争画で考えた」藤井光さんインタビュー 「Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022受賞記念展」① 東京都現代美術館」(聞き手 読売新聞美術展ナビ編集版 岡部匡志、2022421https://artexhibition.jp/topics/news/20220420-AEJ763245/)で確認しながら書いた。メモしきれなかった「日本の戦争美術展」についての情報や、作品の素材などについては、この記事に助けられた。Tokyo Contemporary Art Awardのホームページ(https://www.tokyocontemporaryartaward.jp/)も確認した。
 
※※これらの作品のその後なのだが、1970年にアメリカから日本へ155点の絵画が無期限に貸与されるという形で日本に戻されている(東京文化財研究所HP 「彙報 戦争記録画の返還」https://www.tobunken.go.jp/materials/nenshi/6192.html)。現在、これらの作品は東京国立近代美術館に収蔵され、例えば藤田嗣治の《アッツ島玉砕》(1943年)のような作品が、「戦争記録画」というジャンル名を与えられ、そのほかの収蔵品とともに目録検索できるようになっている(独立行政法人国立美術館所蔵作品総合目録検索システムhttps://search.artmuseums.go.jp/)。

遠藤知恵子(センター助手)

2022年4月22日金曜日

猫村たたみの三文庫(非)公式ガイド

(14)写真絵本にゃ!

センター構成員の皆さま、ご機嫌いかがかにゃ? 三文庫の守り猫、猫村たたみですにゃ。

突然にゃけど、私、写真が大好きなのにゃ。旅行に行くたびにパシャパシャパシャパシャ、写真を撮って大事に大事にアルバムに収めているのにゃよ(一番のお気に入りは、妖怪仲間と一緒に行った風流踊りツアーの集合写真ですにゃ。室町時代の京都は素敵だったのにゃ~)。いつか私の写真コレクションを皆さまにお見せしたいのにゃ! 

そんなわけで、今回は、三文庫の中から、写真絵本をひとつ、取り上げてみたいと思うのにゃ!

 

The First Picture Book: Everyday Things for Babies. Produced by Mary Steichen Martin, Edward Steichen, Harcourt, Brace and Company, New York, 1930.

 

昨年、『別冊太陽スペシャル 写真集を編む』(平凡社、20215月)が刊行されたとき、写真絵本についても取り上げられていたのにゃけど、ここに紹介されていた写真絵本のうち、The First Picture Bookが検索でヒットしたのにゃよ。初版第2刷が光吉文庫に所蔵されているのにゃ。別冊太陽に写真入りで紹介されていたのは、赤い表紙の1991年の復刻版。この復刻版は金平文庫にあって、初版とはまた違ったシャープな印象なのにゃよ(ちなみに、光吉文庫の初版本は、グレーの表紙にタイトルが赤い文字で印刷されていて、これはこれで素敵なのにゃ)。

復刻版には初版になかった解説が加わっているのにゃけど、中身の写真は同じものが印刷されているのにゃ。一枚一枚、ページを繰ってみると…にゃ~む…トーストとミルク、テディベア、靴下と靴…といったように、幼い子どもたちの身の回りにありそうなものを被写体にした、静物写真が収録されているのにゃ! 言葉や物語的な要素は意図的に排除されているということなのかにゃ~? だけどですにゃ、写真の配置に、一冊の本としての構成も感じられるのにゃ(前半は屋内の写真ばかりにゃったけど、後半になると屋外の写真がちょこ、ちょこ、と入ってくるところとか)。

おもちゃや食べ物や服といった身近なものが、写真の真ん中にきれいに収まっているのにゃよ。どの写真も、奇をてらった演出はなくて、はっきりくっきり撮られているのにゃよ。被写体となった物はどれもこれも、子どもたちの生活の一部にゃからね~。指をさして、物の名前を呼びたくなるのにゃね。

そして、初版と復刻版を比べてみると、印刷が全然ちがっていて面白いのにゃ! 初版では、紙から黒い油分が染み出してくるんじゃないかと思うくらい、一ページ一ページがこってりしているのに対し、復刻版は光の当たった部分と影になっている部分のコントラストがはっきりしていて、被写体の存在感が強いのにゃ。紙の質感も違うにゃね~。にゃけど不思議なことに、復刻版の方が何もかもはっきり見えるというわけではないみたいなのにゃよ。たとえば、19枚目の人形を乗せた乳母車の写真を比較すると、床板の形が分かるのは初版の方で、復刻版では床は黒い平面に見えるのにゃ。

にゃ~む、印刷の違いも興味深いのにゃ!。

構成員の皆さまは簡単な手続きで三文庫をご利用いただけますので、何かの折に、この違いを比べて見ていただきたいですにゃ!

 

※三文庫のご利用方法については、新型コロナウイルス感染症の感染状況によっては一時的な変更や休止などがある場合がございますにゃ。にゃから、閲覧を希望する資料を事前にご確認いただいた上で、センターの助手さんに利用方法をお尋ねくださいませにゃ~。

 

三文庫の蔵書検索は白百合女子大学図書館HP 白百合女子大学学術リソース「児童文化研究センター文庫検索」(https://opac.shirayuri.ac.jp/lib/resources/jbunko/)でできます。


2022年4月21日木曜日

イメージを散歩する

木村和平写真展 「石と桃」 

 「不思議の国のアリス」をテーマにした個展が都内のギャラリーで開催されるという噂を聞き、是非とも観てこなければと出かけた。だがこれはとんだ勘違いで、この「石と桃」展は、「不思議の国のアリス」ではなく「不思議の国のアリス症候群」を主題とした写真展だった。想像していたのとは違う写真やオブジェに囲まれ、自分の早とちりに苦笑いしたのだったが、不思議な浮遊感のある作品が展示された穏やかな空間に心地良く身を委ねたひとときだった。

 遮蔽物のないシンプルな部屋に、開け放たれた小さな窓が一つ。そして、四方の壁には、写真作品が、対辺に位置するものどうし互いに対応するように配置されている(…と、展示を見て思った。実際のところ、どんなことを意識して作品を配置しているかはよく分からない。以下、私の観察と個人的な印象にもとづいて書いていきたい)。大小取り混ぜた展示作品が、それぞれのイメージに応じた高さで壁に掛けられており、余白の使い方が巧みだった。一般的に作品鑑賞というと、作品と人間とが見つめ合うような、そうした一対一の関係のなかで行われるものだと思うけれど、この場所では、そういう見方だけではちょっともったいないかもしれないな、と思った。なんと言えば良いのだろう、風通しの良い小さな室内に身を置き、写真やオブジェから発せられるイメージを体験した。

不思議の国のアリス症候群は、物の大きさが実際のスケールとは異なって見えたり、時間が極端に伸び縮みするように感じられたり、色覚が一般的な見え方とは異なっていたりと、独特の感覚があるそうなのだが、この展示では、そうした見え方・感じ方を視覚的・空間的に再構成している。人物を写した写真で被写体となっていたのが少女(少女の表象を纏った人物)であるという点に、「アリス」の面影を見て取ることもできなくはないのだけれど、あくまでも主題となっているのは「不思議の国のアリス」ではなく「不思議の国のアリス症候群」だった。だから…と言って良いかどうかは分からないけれど、たとえばヤン・シュヴァンクマイエルのアニメーション作品「アリス」から感じ取られるような暴力性や性的なイメージはなかった。

先に述べた通り、私がこの個展を訪れたきっかけは勘違いで、もともとは「不思議の国のアリス」から派生した作品を観る心づもりでいた。ギャラリーに足を踏み入れるまでは、目の前にどんなイメージが出現してもショックを受けないよう肩に力を入れて構えていたのだけれど、身体的に侵犯するような印象を与える作品はひとつもなかった。落ち着いたグレーの諧調と、日常をあまり遠く離れない穏やかさが印象に残った。

作品を一通り見て、ギャラリーの白い壁をぼんやりと眺めながら、その場を立ち去るのが少し名残惜しかった。また観たいな、と思った。

 

遠藤知恵子(センター助手)

 

【展示情報】

木村和平写真展「石と桃」 202241日(金)〜417日(日) 於 Roll


もうすぐ咲きます

 今年も金蘭(キンラン)の花が蕾をつけています。あともう2~3日したら開花でしょうか。

 金蘭は、環境省レッドデータブックの「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されている植物です。


 「そんな稀少なお花が学内に…?」と驚いてしまいますが、決まった環境でしか生育できないこのお花。大事にしていきたいですね。

2022年4月15日金曜日

ミニ展示 4月15日~28日

センター入り口で、センター蔵書のミニ展示を行っております。


展示中の本

『ダイアナ・ウィン・ジョーンズの ファンタジーランド観光ガイド

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 著 原島文世+岸野あき恵 訳 佐竹美保 絵

東洋書林 2004


 こちらの図書は展示期間中も貸し出しをすることができます。どうぞお気軽にご利用ください。

ムナーリとレオーニ(19)

1936① 

 

 今回も引き続き、レオーニの年譜を読んでいきたい。

 ジェノヴァ大学を卒業した翌年の1936年、レオーニは製菓会社のモッタを退職し、デザイン事務所「レオ・レオーニ スタジオ」を設立している。場所はミラノ市内のアパート。この時期すでに、ムナーリが同じくミラノで、リッカルド・リカスと共同のデザイン事務所「ストゥディオRM」を立ち上げて活動している。(ところで、このデザイン事務所の立ち上げ時期について、昨年1125日のブログ記事で1931年と記したのだけれど、インターネットで入手できる情報では1930年となっている。私が年譜を読み間違えてしまったのか…と、恐る恐る年譜を見返すのだが、やはり1931年のところに事務所立ち上げのことが書いてある)。

 『だれも知らないレオ・レオーニ』展図録には太田岳人さんの「特別寄稿 両大戦間期のイタリアのメディア文化」(pp.36-37)が収録されており、それによると、1927年の国勢調査で確認された620の出版社のうち、197社がミラノを中心とするロンバルディア州にあったとのことである。太田さんのこのテクストによれば、日本の東京のような一極集中ではなかったが、1930年代のイタリアにおける本格的なメディア文化の定着を先導した出版社の多くがミラノを拠点としていたという。そんなすごいところで、ムナーリもレオーニもグラフィック・デザインの仕事をしていたのである。この特別寄稿のページに掲載された、グラフィック・デザイン専門誌の表紙画像3種を眺めながら、「いいなぁ」と溜息が出てしまう。

 1936年頃のレオーニの作品についてだが、図録には、「1936年頃以降」という制作時期とともに、「レオ・レオーニ スタジオ」の主要クライアントだった羊毛製造会社ロッシのポスター、パンフレット、広告、商品ラベル、商品タグなどの図版が収録されている。どれもお洒落で、一本筋が通っている。

 

【書誌情報】

「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし

 

ムナーリとリカスの「ストゥディオRM」の設立時期について確認したインターネット上の情報源は、①「MunArt」の「Biographical Notes」のページです。また、②太田岳人「『ムナーリの機械』の起源: 漫画文化との関連を中心に」(『イタリア学会誌』第66号、2016年、pp.1-20)も参考にしました(最終閲覧日2022/4/13)。

 

① https://www.munart.org/index.php?p=1 英語で書かれた年譜のページです。

② https://ci.nii.ac.jp/naid/130006248488 こちらはCiniiの論文情報です。J-StagePDFをダウンロードし、参照しました。

 

遠藤知恵子(センター助手)

2022年4月14日木曜日

書評まとめ 2011-2021

 2011年から2021年までにご投稿いただいた書評と、センタースタッフによる本の紹介をまとめたページです。書誌情報をクリックすると、書評のページに飛びます。

書評一覧

































2022年4月8日金曜日

センター三文庫(非)公式ガイド

 (13)猫村たたみ、新年度のご挨拶

猫村たたみ

白百合女子大学児童文化研究センター三文庫の守り猫(猫また)。三文庫の利用方法を優しくガイドする。趣味は時間旅行。妖怪トンネルを使い、時空を超えて旅をするのが何よりの楽しみなのだが、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、この2年ほどは旅行を自粛している。祖先は「歌川国芳」の「荷宝蔵壁のむだ書」でセンターを務めた猫また様。


皆さま、ご機嫌いかがかにゃ? センター三文庫の守り猫、猫村たたみですにゃ。

 

4月に入り、春本番ですにゃ! 鳥さんたちの鳴き声がキャンパス内のいろいろなところから聞こえてきて、心が弾みますにゃね。心が弾むと、体が勝手に動き出して踊ってしまうのにゃ…にゃるら~、にゃるら~(猫村、踊る)…暑からず寒からず、良い季節にゃね~。

 

新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから、もう丸2年が経ってしまったのにゃね。コロナ禍前の生活が、まるで夢のようですにゃ~。とまあ、こんなことを考えつつ、2019年のブログ記事を懐かしく読み返していたら、「三文庫クイズ」という記事を見つけましたのにゃ。入門編と初級編、各5問あるのにゃ。

 

三文庫クイズ

 

入門編 http://jido-bun.blogspot.com/2019/07/blog-post_25.html

初級編 http://jido-bun.blogspot.com/2019/10/blog-post.html

 

クイズって楽しいにゃね。今年度はこの続きをしたいのにゃ(2020年度・2021年度は文庫の閲覧を休止していた期間があったから、クイズも自粛してしまったのにゃ。さ~て、どんな問題を出そうかにゃ~)。

情勢がなかなか落ち着かないのがつらいところにゃけど、できるだけ楽しく、調査研究を継続していきたいですにゃ。

 

そのためにも私こと猫村たたみ、全力で三文庫をお守りいたしますにゃ!


ムナーリとレオーニ(18)

 1935年②


 今回はレオーニの年譜を見ていきたい。

…と言っても、1935年のレオーニの年譜は「11月ジェノヴァ大学を卒業」(p.217)という1行のみ。

過去の年譜に書かれていることを振り返ると、レオーニは1930年にジェノヴァ大学に入学、在学中の1931年に結婚し、結婚の翌年には長男が生まれている。また、大学に籍を置いたまま、未来派の展覧会に参加したり、会計やセールスマンや広告デザインなどの仕事をしたり…と、まだ学生だったことを忘れてしまうほど、いろいろなことをしていた。

1935年のレオーニは引き続き製菓会社のモッタで働いている。図録で、モッタで手がけた作品の画像とキャプションを確認してみると、パンフレットや新聞・雑誌の広告以外にも、店舗のウィンドーディスプレイやメニューデザインなども担当していたそうだ。1934年のミラノ見本市で、ムナーリはモッタ特設館内部の空間デザインも手がけたとのこと(p.26)。同じく図録で、193436年の洒落たティールームメニューの図版を見ることができる。スパイラル製本の冊子である。

 

【書誌情報】

「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし

 

遠藤知恵子(センター助手)