2021年4月28日水曜日

【書評】ロアルド・ダール作、クェンティン・ブレイク絵『魔女がいっぱい』清水達也・鶴見敏訳、評論社、2006年

 あなたは「魔女」と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべますか?

 

 大きな壷をかき混ぜて、薬を作っている怪しいおばあさん?

 黒い帽子に、黒いマント?

 ほうきの柄に乗って、ひとっ飛び?

 それとも、素敵な魔法で人助け?

 

 いえいえ! 2度にわたって実写映画化された『魔女がいっぱい』には、このような特徴を持った魔女は、1人も登場しません。

 では、どんな魔女かというと……。 一見すると、一般の女性と何も変わりません。ごく当たり前の服を着て、ごく普通の家に住み、人並みに仕事をしています。

 しかし! その正体は恐ろしいもので、魔法を使って子どもを消そうと企んでいるのです。というのも、魔女は大の子ども嫌いだからです。

 加えて、「髪の毛が生えていない」「かぎ爪を持っている」など、奇妙な身体的特徴をいくつか持っています。魔女はカツラや手袋でこれらの特徴を隠しているので、一般の女性と魔女を判別するのは、非常に困難です。

 

 そんなわけで、主人公の男の子「ぼく」は、唯一の家族であるおばあちゃんから、魔女の恐ろしさについて、日頃から聞かされていたのでした。

ある日、「ぼく」は滞在していたホテルで、「英国児童愛護協会」と名乗る女性たちの集会に遭遇しました。しかし、その正体は偽りの姿で、イギリス中の魔女が集まる集会でした。カツラを外した魔女たちの禿頭の集団に、「ぼく」は仰天します。

「ぼく」は怯えながらも、魔女たちの集会を覗き見します。なんということでしょう! 魔女たちは、「人間をネズミに変身させる薬」を使って、国中の子どもを滅ぼす計画を立てていたのです。ところが運悪く、集会が終わろうとしたタイミングで「ぼく」は魔女たちに見つかってしまい、その薬によってネズミにされてしまうのです! 

ネズミになった「ぼく」は、おばあちゃんのところに行き、集会で見聞きことを全て話しました。そして、その会話をヒントに、「ぼく」はネズミの身体能力を活用して、国中の魔女を滅ぼす計画を思いつくのです。

さあ、はたして、「ぼく」は無事に計画を遂行できるのか? ネズミにされた「ぼく」はこの先、どうなるのか? その続きはぜひ、あなたの目で確かめてみてください。


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この書評は、2021年春に開催された書評コンクールの応募作品です(書評番号3)