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2024年10月3日木曜日

プロジェクト成果物(web公開)が更新されました

 白百合女子大学のウェブサイトにある、児童文化研究センターの「プロジェクト成果物」のページが更新されました。
 「『神宮輝夫先生のお仕事を振り返る』研究会(2023年度)」の、「神宮輝夫著作リスト」が、新たに追加されたPDFファイルです。ご興味のある方は、こちらのリンクからご覧ください。

2022年5月12日木曜日

プロジェクトってどんなもの?

間もなく、プロジェクトのメンバー公募が始まります。ここでは、プロジェクトとはどのようなものなのかを、改めてご紹介いたします。

 

センターのプロジェクトは、〈特定分野の研究を進め、構成員による研究活動の活性化を図る〉ことを目的としています。アイデア次第でさまざまなことができるプロジェクト制度ですが、これまでの活動では、次のようなタイプのプロジェクトがありました。

 

〈資料蒐集〉型

 研究はまず、資料の蒐集と整理から。整理して目録としてまとめ、今後の研究基盤を作っていきます。冊子などにしてまとめることも可能です。

 

〈資料解読〉型

 小波日記研究会の「巖谷小波日記 翻刻と注釈」がおなじみですね。古い手書き資料などを解読して活字に起こす、研究者自身だけでなく、その研究領域全体にとっても非常に有益な作業です。外部からの注目度も高いです。

 

〈読書会〉型

 読書会で、発表や意見交換を行います。センター構成員を対象とした公募ですので、同じ授業を履修していない院生や、院生以外の構成員の方々と交流する好機です。

 

〈勉強会〉型

 授業とは別に、先生のご指導を仰ぎながら勉強会をしたり、外部から専門家を招いたりします。

 

〈各自でテーマ設定〉型

 共通の目標や研究領域で、それぞれに定めたテーマに基づき研究を進めていきます。仲間がいるので、ブレずに目標達成に近づくことができます。研究成果を論文や研究ノートにしてまとめ、冊子を作成したり、『センター論文集』に投稿したりする団体もあります。

 

 プロジェクトの性格により支援内容は異なりますが、資料の所蔵館までの交通費の一部や、資料のコピー代、冊子の印刷・製本費、また、外部から講師をお招きする場合は講師料などが、プロジェクト活動として支援されます。

 

(番外編)

 プロジェクトのように仲間を集めて行うのではなく、個人として文章修行をしたいと考える方もいらっしゃるかもしれませんね。書式などは気にせず、短めの文章を書いて、書いて、書きまくる! 書評や展覧会評など、とにかくたくさん書いて発信力と表現力を養いたいという方は、センターブログをご利用ください。

 

センターは、皆さまの「やってみよう!」を応援しています。

 

※この記事は、『センター報』第36号(2009年7月発行)の「プロジェクトで、こんなこともできる!」(当時のプロジェクト担当者による記事)をもとに作成いたしました。

 

(センター助手)

2019年7月15日月曜日

『なぞなぞ』 ~おばあさんは何者か?~

 
 私は不思議な話を探していました。しかし、図書館を探してみても、本屋さんを探してみても、ピンとくるものがありません。どうしたものかと頭を抱えながら、先週、大学内の森の中をぶらぶらと散歩をしていました。それは夕暮れの時のことでした。人はまばらで、ましてや森の中には人の気配すら感じられません。私はますます考え事にのめり込みました。あまりに没頭していたためか、突然私の左側の茂みから、烏の鳴き声が聞こえた時、思わずびっくりして立ち止まりました。それと同時にバサバサという羽音が左右どちらからも聞こえ、頭上の木の枝が揺らされる音が響きました。
 私はすっかり怯えてしまい、辺りをキョロキョロ見まわしました。そして目の前に見知らぬ女の人が佇んでいることに気づき、ハッと息を呑みました。先ほどまで誰もいなかったはずなのに。その人は7月だというのに、黒い厚手のコートを羽織っていました。真っ黒な長い髪、青白い肌。不自然なほどに大きな目。真っ黒なその目には光がありません。そして、下は黒いタイツに包まれた足を冬用のスノーブーツの中に突っ込んでいました。私はとっさに逃げようと思いましたが、体が上手く動きません。「あなた、不思議な話が読みたいんでしょう?」女の人はそういうと、動けない私にどんどんと近づいて来ました。そして私の目の前に来ると、一冊の本を差し出しました。「これ、読むといいわ」そう言って無理やり私の手にその本を押し付けると、くるりと背を向けて去っていきました。

 こんにちは〈SF・ファンタジー小説の研究と創作プロジェクト〉です。今回このプロジェクトでは、前回に引き続きClose Readingを行いました。そして扱った作品は、ウォルター・デ・ラ・メアという20世紀のイギリスの小説家・詩人のもので、『なぞなぞ』という名前の作品です。ストーリーを簡単にご説明いたしますと、おばあさまの家で暮らすことになった7人の子どもたちが、近づいてはいけないと言われていた木のひつの中へと次々に消えていき、最後には子ども全員が消えていなくなってしまう、と言うものです。
 この話を見ていくうちに、子どもたちを引き取ったおばあさんのどこか不気味な行動が注目されました。おばあさんは子どもたちに優しく、針箱や、ジャックナイフ、まりなどをそれぞれに贈ります。しかしよくよく考えてみると、まりはともかくとしても、針箱やジャックナイフなど、どこか危険なものであり、子どもに与えるのにあまりふさわしくないものではないでしょうか。そして子どもたちに「家のどこで遊んでもかまわないが、大きな予備の寝室にある、木のひつにだけは近づかないように」と強く言い含めます。ここまで読むと、7人の子どもたちや、行ってはいけない禁令の要素などが、昔話を彷彿させます。そう考えると上記のジャックナイフなども、孤立的な道具として、後で何かしらに使われるのではないでしょうか。しかし、残念ながら、それらの道具は子どもたちに手渡された後、一度も姿を見せることは無いのです。さらに、最初に1人の子が消えた後、おばあさんは「じゃあ、あの子はとうぶん、いったきりになるんだろうねえ」(デ・ラ・メア、166)、そして残された子どもたちに再度「絶対にあのひつに近寄るな」と言うのです。これらの謎めいたおばあさんの言動は不気味であり、恐ろしささえ感じられます。このことについて「作者が不穏なものを見せて読者を誘導し、あやしさを強化・強調していっている」という指摘がありました。確かに話を読み進めていくたび、不穏さや不気味さが増していっている気がします。また「おばあさんの不自然な様子を増していくことで、不思議な世界へと入りやすくしている」との指摘もありました。もう1人の子どもが消えると、おばあさんは「あの子たちはいつか、おまえたちのところに帰ってくるかもしれないよ」(デ・ラ・メア、167)、「あるいは、おまえたちがあの子たちのところへいくことになるのかもしれない」(デ・ラ・メア、167)などと、謎めいたことを言います。また、残された子どもたちに木のひつのところへと行かないように言うのですが、このときは言いつけを「できるだけ守るんですよ」(デ・ラ・メア、167)と言い、前よりも強制力が低いニュアンスで子どもたちに言いつけています。
 このおばあさんは意図的に子どもたちを誘導しているのだ、とする意見や、おばあさんは彼らがどうなったかは知っているが誘導しているわけではない、という意見、または安房直子さんの話に似たような人さらいの話があったことを思い出し、それが木の精であったことから、このおばあさんは木の精ではないだろうか、という意見もありました。
 このおばあさんは何者なのか、子どもたちはどうなってしまったのか。物語が進んでいくうちに謎はどんどん増えていきます。それが最後には明かされるだろうという期待を持ちながら、意見を交わしていきましたが…結局子どもたちは全員消え、おばあさんが何者か明かされることも、子どもたちがどこへ消えたのかも明かされることはなく、この物語は幕を閉じるのでした。
 この結末は謎が謎のまま終わってしまい、あとは読者が考えるというようなオープンエンドの形式をとっています。すっきりしない終わり方に、「これは話になっていない」と言う意見も出ました。また、「ファンタジーは謎を解いた形で終わらせるか、謎を謎のままにしておくかは作者によりけりである」という意見がありました。ちなみにメンバーの中では謎をすっきり解いてしまう終わり方の方が良いとする方の方が多かったです。しかし、私は何とも言えない不気味で不思議な気分を味わえますので、こういった謎が多く残る物語も好きです。皆さんはどちらの方がお好みでしょうか。

 私は謎の女の人に手渡された本の1編をClose Readingに用いました。そしてこの本が大学図書館のものであることを、本についているバーコードで確認しました。あの人が一体どこの誰なのか。私には皆目見当がつきません。しかし図書館のものである以上、返さなくてはなりません。しかし、この本は直接私が借りたものではない。借りたものを手渡されたのです。これは図書館の利用上ルール違反です。あの女の人が見つかれば、すぐに手渡すつもりでしたが、私にはその人をどうすれば探し出せるのかわかりませんでした。 
 仕方なく、私は図書館へと向かい、ドキドキしながら本を差し出しました。問いただされたら、しっかりと事情を説明するつもりだったのです。しかし、意外にも受付の人は普通に応対し、返却処理を施そうとしました。私はびっくりして思わず、受付の人を呼び止め、事情を焦って伝えました。「え?いや、そんなはずは…」受付の女性は驚いたように私とパソコンの画面のデータを見比べていました。「ここにはちゃんとデータが残っていますよ」そう言って、その画面を見るように私を促したのです。
 果たしてそこにはしっかりとその本の貸し出し記録が残されていました。学生証には写真がついていますので、仮にあの女の人が私の学生証を勝手に使って借りようとしても、止められていたことでしょう。それにあの時が初対面でしたのに、どうやって私の学生証を奪えるのでしょうか。本の裏についていた返却日時から逆算すると、その1ヵ月前に借りていたということになります。そうすると、どう考えても、私があの女の人に出会うずっと前に借りられていたことになるのです。
「あの…」受付の女性は、明らかに不審そうに私を見やりました。何か胡散臭いものを見るような眼差しです。「あ、あの…勘違いでした……私が、借りていました。すみません…ちょっとぼーっとしていて…」私はそう言うしかありませんでした。
 あの女の人は何者だったのか。どうしてあの本を私に渡してくれたのか。幽霊だったのか、幻だったのか…今でも私には分かりません。そしてあれ以来、その女の人を見かけることはありませんでした。

           <SF・ファンタジー小説の研究と創作プロジェクト>のA

参考文献
デ・ラ・メア、ウォルター「なぞなぞ」、『デ・ラ・メア物語集2』、マクワガ葉子訳(大日本図書株式会社、1997)、p163-170

2019年7月11日木曜日

『きつねの窓』に入り込む     −Close Reading−


 ぼくはその日、図書館へ行くところでした。歩きなれた道を、次の授業のことなんかを考えながらぼんやり歩いていたのです。ふいに明るくなったように思えて空を見上げると、一枚の青い紙がはらはらと落ちてきました。

 「こんにちは、はじめまして。<SF・ファンタジー小説の研究と創作プロジェクト>です。私たちが毎週開催しているプロジェクトの様子を少し紹介したいと思います。
 私たちはSF・ファンタジー作品を書いていますが、創作のためには既存の作品を分析・考察することも大切です。そこで、7月5日のプロジェクトでClose Readingをしました。
 Close Readingでは作品を一文一文、一語一語じっくり追って、言葉の意味や役割を読み解きます。この読み方により、さらっと読むだけでは素通りしがちな表現や引っかかりを見つけ出すこともできます。また、複数人でClose Readingを行うことで、個人で読んだ際に気付かなかった点にも目が向きました。微細な言葉のニュアンスから作品全体の構造まで、メンバーからの指摘で初めて気が付いたことが多々あります。言葉の意図・時制・時代背景など、注目するポイントはそれぞれ異なり、同じテキストを読んでも感想は千差万別。Close Reading1回目である今回は、安房直子『きつねの窓』を題材にしました。

 今回は基本的に先行研究を確認せずに感想や意見を出し合いました。全員で同時に『きつねの窓』を読み進め、疑問に思った箇所や気付いたこと気になることを随時挙げて議論します。
 はじめに、「窓」の光景を見せているのはきつねか、それとも主人公の猟師の心かと疑問が出されました。そもそも「窓」とは? なぜ不思議な光景が見えるのでしょう? 窓の構造も気になります。ここから作品全体の根本的な解釈の違いに議論が発展し、きつねが計画的に猟師に接近したのか、偶然の連続がきつねと猟師を引き合わせたのか、各々意見を出しました。さらに、きつねは最初から意図的に鉄砲を貰おうとしていたのだろうか?と疑問が湧き、果てはきつねが猟師(あるいは人間)に復讐したかったのではないかと考える人も……。
 また、主人公の子ども時代の家が「燃えて」失われたことに対して、引っかかる人と気にならない人で意見が割れました。単に火事だと受け取る人もいれば、空襲を連想する人もいます。本プロジェクトのメンバーの半数は留学生のため、文化的・歴史的背景を加味するかテクストの情報だけ読み取るかで解釈が異なる場合があり、今回は特に、火事から空襲を連想するか否かにその違いが見えました。

 青いききょうの花畑、きつねのそめもの屋、「窓」から見えた光景……淡く優しく少しさみしいこの作品は、いつ読んでも幻想的な世界を見せてくれる作品です。作品に対する様々な視点の意見を聞くことができ今回も有意義な時間になりました。この読みがきっとそれぞれの創作に活かされることでしょう。」

これが青い紙に書いてあったことのすべてです。それから、また何か降ってこないかと、ときどき空を見上げています。

<SF・ファンタジー小説の研究と創作プロジェクト>のN 

2012年10月4日木曜日

センタープロジェクト活動中!!

児童文化研究センターでは、
センター構成員の研究を支援する目的で、研究プロジェクトを行っており、
今年度は三つのプロジェクトが活動しています☆

写真は昨日行われた【英米児童文学研究会】の様子です!

【英米児童文学研究会】は、近年の児童文学研究について、
研究書の精読を通して知識を深め、
それぞれの研究に活用していくことを目標にしている研究プロジェクトです。

今年度は月一回児童文化研究センターに集まり、
Kimberley ReynoldsのChildren's Literature(2011)を輪読し、検討しています。

参加メンバーは大学院OGが多く、現役院生はなんとたった1人!

OGメンバーからは、
授業という学ぶ場を失った身にとって、
この研究会が非常に新鮮で刺激的であるという嬉しいコメントを頂きました(*^^*)
 
院生メンバーにとっても、
大先輩たちと研究の場を共にし、
意見交換を行う良い機会になっているとの事です☆

興味のある構成員の方は、ぜひセンターまでお問合せください☆★