2025年7月10日木曜日

次回研究会のお知らせ

 第74回「児童文化研究センター研究会 前期発表会」


 今回の発表会では、「修士論文中間発表」と「構成員研究発表」を行います。

 学内(白百合女子大学の学生と教職員)の方は予約なしでご参加いただけます。学外の方は、7月28日(月)17時までに児童文化研究センター(jido-bun@shirayuri.ac.jp)までメールでお申込みください。


修士論文中間発表 10:30~14:30(予定)

構成員研究発表  14:40~16:10(予定)

 ※12時から1時間程度の休憩を挟みます。


「構成員研究発表」プログラム

伊藤かの子氏

「上橋菜穂子作品における〈食〉―越境を象徴する食べ物―」


原田優香氏

「親を求める旅から真理に向かう旅へ―『鋼の錬金術師』における「子ども」と「真理」」


鈴木あゆみ氏

「長谷川版欧文図書の製造工程とカレンダーから見える日本の子どもと文化について」


日時:2025年7月29日(火)10:30~16:10(予定)

場所:9012教室(本館地下)


 発表順や開始・終了時刻は当日変更になる場合もございます。ご了承くださいませ。

 皆様のご参加を、お待ちしております。


お誘いあわせの上、お越しください。

2025年6月20日金曜日

センター入り口の展示替え

ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ・完結篇』


ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ・完結篇』(『ミッシュマッシュ』特別号第1巻)平倫子訳、日本ルイス・キャロル協会、2016年7月

展示中も借りられます。ぜひお手に取ってご覧ください。

 今回は、普段は閉架になっている資料のご紹介です。
 『シルヴィーとブルーノ・完結篇』は、『シルヴィーとブルーノ』の続編。商業的出版物としては、まだ出版されていません。『シルヴィーとブルーノ』は、白百合女子大学図書館で柳瀬尚紀氏訳の1976年れんが書房新社版を読むことができます。

2025年6月12日木曜日

新着資料のお知らせ

 『鬼ヶ島通信』804号(2025年春号)が届きました。今号では、SFの特集記事が組まれています。

石川宏千花、河合二湖、北川佳奈、くまあやこ、佐竹美保、柴田勝茂の寄稿に加え、はやみねかおるのインタビュー記事も掲載。豪華すぎて、どこから読もうか迷ってしまいますね。

 また、ひこ・田中さんの連載記事では、『メアリ・シェリー「フランケンシュタイン」から〈共感の共同体〉へ』(シャーロット・ゴードン著、小川公代訳、白水社、2024年)からの引用をまじえてメアリ・シェリー『フランケンシュタイン』の制作背景に思いを馳せつつ、ル・グウィンの「ゲド戦記」シリーズに鋭い批判を加えます。

『鬼ヶ島通信』最新号は本日から1週間程度、センター入り口の展示スペース(メールボックスの上)に置きますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

2025年5月29日木曜日

ムナーリとレオーニ(51)

1962年


 毎日の慌ただしさに負けて、ムナーリとレオーニの年譜をひたすら読み続け、書く、というこの連載も、しばらくお休みしてしまっていた。前回は昨年11月末頃に投稿した第50回。半年ぶりに再開したい。

 1962年5月、ムナーリはモスクワへ旅行している。5月から6月にかけて、モスクワのソコーリニキ公園で開催された「イタリア工業の実現物展」の展示プランを監修したとのこと。国際的な活躍をみると気になってしまうのが国際情勢だが、この旅行から約5か月後の10月にキューバ危機が起きている。2024年にアメリカで製作されたA Complete Unknown(ジェームズ・マンゴールド監督、邦題:名もなき者)にも、当時のアメリカ国内に広がる核戦争への恐怖が生々しく映し出されていた。ムナーリはどんな気持ちでキューバ危機のニュースに接していたのだろう。あるいは、もしかして、芸術運動に忙しくて、ニュースなど気にする暇もなかったのだろうか。年譜だけでは分からないことが、たくさんある。
 まあ、それはとにかくとして、この年もムナーリは忙しい。1回の個展と4回のグループ展を行なっているのだが、グループ展のうちの1つ、「アルテ・プログランマータ、キネティック・アート、マルチプル、開かれた作品」展は、アルテ・プログランマータ運動のきっかけと位置づけられるものだ。ジョルジョ・ソアーヴィとともに企画した作品展示で、5月15日からミラノのオリヴェッティ店舗で開始し、7月から8月にかけてはヴェネツィアで、10月にはローマ、翌年6月15日から7月14日にはドイツのデュッセルドルフでも開催している。
この展示に関して、ムナーリはマルチェッロ・ピッカルドとともに記録映像『アルテ・プログランマータ』を製作している。ピッカルドとはその後、1969年の『余波』まで、様々な短編フィルムを共同制作したとのこと。ピッカルドとの製作物は実験映像や広告映像など。年譜に「各地の映画祭などにも参加する」(p.348)とあるので、その後の出来事を少し読んでみたのだけれど、「各地の映画祭」って、どれのことだろう?(わからない。)
 個人的には、オリヴェッティで開催されたグループ展のタイトルにある「開かれた作品」という言葉が気になる。『開かれた作品』と言えば、同年刊行されたウンベルト・エーコの著書である。この辺のことは熊沢健児氏の関心領域なので、彼にこの本についてのリポートを頼もう。最近、体調が思わしくないそうだが、読書や執筆活動が大好きな彼にとって、研究生活を充実させることが一番の薬である。頼めば3~4週間で書いてくれるはずだ。
 なお、この年のレオーニは、タイム・ライフとモンダドーリが共同出版する月刊誌『Panorama』の編集コンサルタントとなっている。役職については、1962年から1963年は編集コンサルタント、1964年から1965年は編集長とある。モンダドーリはミラノの出版社で、1945年にムナーリが子どものための絵本を7冊刊行していた。

【書誌情報】
奥田亜希子編「ブルーノ・ムナーリ年譜」『ブルーノ・ムナーリ』求龍堂、2018年、pp.342-357
「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし

遠藤知恵子(センター助手)

2025年5月8日木曜日

センター入り口の展示替え

 春から初夏へと移ろいつつあるこの頃、センター入り口のミニ展示も本を入れ替えました。

展示テーマ 少女をめぐる本6選

森下みさ子『娘たちの江戸』筑摩書房、1996年

シャーリー・フォスター+ジュディ・シモンズ『本を読む少女たち ―ジョー、アン、メアリーの世界』川端有子訳、柏書房、2002年

遠藤寛子『『少女の友』とその時代 ―編集者の勇気 内山 基』本の泉社、2004年

中川裕美『少女雑誌に見る「少女」像の変遷 ―マンガは「少女」をどのように描いたか―』出版メディアパル、2013年

岩淵宏子+菅聡子+久米依子+長谷川啓 編『少女小説事典』東京堂出版、2015年

図書の家 編、石堂藍 編集協力『少女マンガの宇宙 SF&ファンタジー1970-80年代』立東社、2017年


 展示中も貸し出すことができます。お気軽にお手に取ってご覧ください。
 帯をつけたままにしている資料もあります。貸し出し時、帯を破いてしまいそうで怖い人は、センタースタッフにお声がけください。返却まで、センターにてお預かりいたします。

本を鑑賞してみる 後編

児童文化研究センターのゆるキャラコンビ、猫村たたみと熊沢健児は『祖父江慎+コズフィッシュ』(パイインターナショナル、2016年)で紹介された本のなかから、大学図書館で借りられる本をピックアップし、本の鑑賞を始めました。ブックデザインの勉強です。いま、ふたりは2冊の学術書が気になっているようです。

(なお、本記事はキャラクターの対話によって成り立っております。猫村につきましては語尾に「にゃ」のつくいわゆるキャラ語を使用しておりますが、記事の性質をご理解の上、お楽しみいただけましたら幸いです。 )

熊沢健児「ところで、猫村さん」

  
 
猫村たたみ
「どうしたのかにゃ? 熊沢君」








〈ふたりが見ている学術書〉

ヒューバート・L・ドレイファス+ポール・ラビノウ『ミシェル・フーコー 構造主義と解釈学を超えて』山形頼洋ほか訳、筑摩書房、1996年
中沢新一『精霊の王』講談社、2003年

熊沢:同じ学術書でも、対照的な2冊だね。
猫村:ま…眩しいのにゃ!
熊沢:『ミシェル・フーコー 構造主義と解釈学を超えて』の表紙は、蛍光色の、ピンク寄りの赤色だ。確かに、眼に染みる色だね。
猫村:本文を印刷する紙も、まばゆいばかりの白にゃ!
熊沢:うん、柔らかなオフホワイトやクリーム色の用紙に慣れた眼には、少々刺激的な白だ。
猫村:本文のレイアウトもドラマティックにゃ! しっかり余白を取るところと、文字で四角くビシィッと埋めているところとのコントラストがはっきりしているにゃ~。
熊沢:コントラスト。確かにそうだね。文字の大きさは定規で測ってみたら3ミリちょっとだった。もう一方の学術書、『精霊の王』は3.5ミリにわずかに届かないくらいかな(※)。
猫村:『精霊の王』の印象は穏やかにゃね。
熊沢:うん。
猫村:でも、本文に行き着くまで、ページを何枚もめくるようにできているのにゃ。一筋縄ではいかないのにゃね。
熊沢:『祖父江慎+コズフィッシュ』によると、表紙を開くと、遊び紙、プロローグ、目次、欧文捨て扉、和文飾り扉、巻頭口絵、大扉と続くんだって。
猫村:扉だらけにゃ!
熊沢:欧文捨て扉はフランス語。
猫村:Le Roi du Monde Caché…「ル・ロワ・デュ・モンド・カシェ」…直訳すると「隠された世界の王」ってとこかにゃ? 日本語の『精霊の王』というタイトルとは微妙に違うのにゃ。
熊沢:慣れ親しんだ日本語とは違うニュアンスを付け加えることで、ちょっと謎めいた感じになるね。
猫村:いくつも扉を用意して、本文までの物理的な距離を持たせているのにゃけど、それだけにゃなくて意味の上でも、慣れ親しんだ言葉の世界から、ちょっと遠く感じさせるような工夫をしているのかにゃ?
熊沢:そうかな…うん、そうかもしれないね。ところで、猫村さん。
猫村:どうしたのかにゃ? 熊沢君。
熊沢:なんか…気持ち悪い…。
猫村:にゃっ、にゃんと!?
熊沢:いや、吐くほどひどくはないんだけど、さっき見た『ミシェル・フーコー 構造主義と解釈学を超えて』の表紙の色合いが、私には刺激が強すぎたようだ。蛍光色の表紙を観察しているうちに、気分が悪くなってしまった。
猫村:それは大変にゃ! 今日はもうおしまいにして、ちょっと横になった方が良いのにゃ!
熊沢:申し訳ない。
猫村:ノープロブレムにゃよ! また日を改めて、一緒に本の鑑賞をしようにゃ~。
熊沢:うん。次は、図書館で、トーベ・ヤンソンコレクションとムーミン・コミックスを見よう。それから、『金曜日の砂糖ちゃん』(酒井駒子作、偕成社、2003年)も!
猫村:にゃ! 私たちは、私たちのペースで、鑑賞して、勉強すれば良いのにゃ。
熊沢:ありがとう。また、ブックデザインについて、学ぼうね。
猫村:約束にゃ!

 蛍光色の刺激の強さに、すっかり参ってしまった熊沢健児。それでも抱き始めたブックデザインへの興味は消えないようで、ゆっくり、自分のペースで学ぶことを心に決めたのでした。

※『祖父江慎+コズフィッシュ』によると、本文の活字の大きさは『ミシェル・フーコー 構造主義と解釈学を超えて』が12.5級、『精霊の王』は13.5級です。

2025年5月2日金曜日

連休中の閉室日

 児童文化研究センターの、ゴールデンウィーク中の閉室日は、5月5日(月)と6日(火)です。ご不便をおかけいたしますが、ご了承くださいませ。
竹とんぼのような、モミジの種子です