2024年7月19日金曜日

第7回書評コンクール 猫村たたみ×熊沢健児トークセッション

猫村たたみ
(三文庫の守り猫)
熊沢健児
(ぬいぐるみ・名誉研究員)



猫村:皆さま、ご機嫌いかがかにゃ? センター三文庫の守り猫、猫村たたみですにゃ!

熊沢:どうも、熊沢健児です。第7回も、どうにか開催することができたね。

猫村:にゃ! 開催できて、本当に良かったのにゃ!

熊沢:コンクールにご参加くださった方々、本当にありがとうございました。

猫村:心よりお礼申し上げますにゃ!

熊沢:さあ、第7回コンクールの振り返りを始めよう。

猫村:トークセッション、始まり始まりにゃ~!

熊沢:最初の書評は、しあわせもりあわせさんの作品。『チャーリー・ブラウンなぜなんだい?——ともだちがおもい病気になったとき』の書評だね。登場人物やストーリーを、情報過多にならない範囲で丁寧に説明し、登場人物の言った大切な言葉、これは、ライナスの言葉だと思うけれど、しっかり印象に残る形で引用している。

猫村:にゃ! 書評なのにゃけど、私、この引用部分で心を掴まれてしまったのにゃ。ぐっとくる台詞にゃね~。そうして読む人の心をつかんだ上で、この絵本のもとににゃったアニメーション作品が生まれた経緯や、日本語訳をした人たちが医療従事者にゃったことが説明されるのにゃ。にゃから、私、思わず「にゃ~む」と唸りながら読んでしまったのにゃよ。日本語版と原書の違いを説明するところまで読んだとき、「原題を調べて両方とも読まにゃくっちゃ!」とググったのにゃ!

熊沢:うん。Why, Charlie Brown, why? だね。書評の構成が巧みなのは確かだけど、この絵本を本当に大事だと思っているからこそ、読んでいる人の気持ちを作品へと向かわせることができるんだよね。

猫村:そうなのにゃよ~。

熊沢:私も、もっと絵本への愛情を率直に表現するよう、しあわせもりあわせさんを見習わないと。

猫村:熊沢君が書く書評の持ち味は、紹介する書物への愛がちょっと屈折しているところなのにゃよ。「魅力を潰す」にゃなんていうような、一周まわってポジティブな言い回しで作品の良さを伝えるのにゃからね。今回の『蛇の棲む水たまり』も、とっても熊沢君らしい文章にゃと、私は思ったのにゃ!

熊沢:(ええと…これは、褒められているのだろうか?)あ、ありがとう…?

猫村:どういたしましてにゃ!

熊沢:(あ、褒めてくれてたんだ…。)君の書いた『ねずみじょうど』の書評も、君らしさ全開だったよ。君が、絵本をとても素直に楽しんでいることがよく分かった。

猫村:ありがとうにゃ!

熊沢:どういたしまして。

猫村:にゃにゃ! 今回は絶滅危惧ⅠB類(環境省レッドリスト)のゲンゴロウブナさんが参加しているのにゃ。大変にゃ!

熊沢:いやいや、魚の名前はペンネームだから。書いたのは人間だよ。

猫村:にゃにゃ、そうにゃの? 人間がかぼちゃ人の皆さんのように賢く暮らせるようになったら、本物のゲンゴロウブナさんたちも安心して暮らせるのかにゃ~。

熊沢:そうだね。環境問題は待ったなしだからね。私は、ゲンゴロウブナさんが絵本と一緒に紹介していたジェイン・ジェイコブズ関連資料2点のうち、映画の方は見たことがあったけれど、『アメリカ大都市の死と生』はまだ読んだことがなかった。日本語訳は出ていないものと、勝手に思い込んでいたよ。

猫村:熊沢君らしくにゃい勘違いにゃね~。

熊沢:そうかな? 私はけっこう、そそっかしい方だという自覚があるよ。でも、ともかく、こうして日本語訳の存在を知ることができて本当に良かったよ。

猫村:前から知っている作品とも、新たに出会い直すことができるのにゃ。熊沢君は、ジェイコブズと出会い直せたのにゃね。

熊沢:そうだね。今回、それがとても嬉しかった。

猫村:めでたしめでたしにゃ!

熊沢:いや、あともう一作品あるよ。ブックレットを紹介する、ほうじ茶の親友さんの書評が残っている。「めでたしめでたし」はその後でね。君はライブラリアンでもあるから、ほうじ茶の親友さんに共感する部分がたくさんあったのでは?

猫村:そうなのにゃ。私、ヒューインズさんとムーアさんには、一度、サインをもらいに行ったことがあるのにゃよ。

熊沢:え…? それは、あの…例の、妖怪トンネル(※)を通っていくという、あの時間旅行?

猫村:そうなのにゃ。むかし勤務していた妖怪図書館の同僚の皆さんと、研修旅行に行ったのにゃ。にゃけど、お二人とも神々しすぎて、とてもにゃないけれど、サインが欲しいにゃなんて言い出せにゃくて…私、英語は苦手にゃし…。

熊沢:いつも好奇心のまま目標に突入していく君が、珍しいね。

猫村:自分でも、私らしくにゃかったと思うのにゃ…。

熊沢:たまにはそういうこともあるよ。

猫村:にゃけどね、それくらい憧れるロールモデルがいるってこと、私、とても幸せなのにゃ。

熊沢:うん。自分がこうなりたいと思えるようなロールモデルがいるって、幸せなことだね。

猫村:ほうじ茶の親友さんは、学校司書や図書館の児童サービス担当として働いている方々を応援したかったのにゃね。女性の多い職場にゃし。

熊沢:そうだね。彼女たちは本が大好きな子どもたちにとって、かけがえのないロールモデルだよ。子どもは社会の宝なんてよく言われることだけれど、彼女たちだって宝だよ。

猫村:そうなのにゃ! 司書さんたちだけにゃなくて、生まれたときからみんな宝なのにゃ。宝物を探しに旅に出る必要なんてないのにゃ!

熊沢:うん。現代の宝を見つけたところで、そろそろ……

猫村:めでたしめでたし!

熊沢:最後までお読みくださって、ありがとうございました。

猫村:ありがとうございましたにゃ!

熊沢:第7回書評コンクールの振り返り、これにてお開きにいたします。

猫村:これからも書評コンクールが続いていくよう、がんばりますにゃ!

熊沢:皆さま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

猫村:よろしくお願いいたしますにゃ~。


皆さま、ありがとうございました。

※猫村たたみは現代を生きる妖怪(猫又)です。妖怪トンネルを通って時間旅行をすることを趣味としております。