2020年11月6日金曜日

【書評】 カレル・チャペック『オランダ絵図』飯島周訳、筑摩書房、2010年

旅行好きの私にぴったりの本を見つけましたのにゃ!


 書いたのは、『長い長いお医者さんの話』(1932年)でお馴染みの、カレル・チャペックさん(1890-1938)ですにゃ。チャペックさんは諷刺劇『ロボット(RUR)』(1920年作、1921年初演、プラハ)を書いた人でもあるのにゃけれど、兄のヨーゼフ・チャペックさん(1887-1945)の発案を受けて「ロボット」という新しい言葉を使ったことで、この言葉が世界中に広まっていったのにゃね。ちなみにお兄さんは画家さんですにゃ。(素敵な兄弟にゃ〜。)

さて、ですにゃ。この本は、1931年の世界ペンクラブ大会出席のためオランダに滞在したときのことを書いた紀行文ですにゃ。人に対しても、風景に対しても、明晰な観察をもとに小気味の良い文体で書いているのが印象的にゃね。テンポよく、さくさくと読めるのですにゃ。

そして、私が一番気に入っているのは、オランダの土地と光について書いている、この部分ですにゃ。

 

オランダでは、各種の色はほとんどエナメルのように明るく、赤い煉瓦、緑滴たる牧草地、黄色い砂、明るい色の看板、清らかな空気の中にきらめく純粋な色から受ける喜びがある。

p.44

 

私、ここを読んだとき、「そうそう、それにゃ!」と、開いた本のページに向かって話しかけてしまいましたのにゃ。土地が変わるとお日様の光が変わりますにゃ。にゃから、木も山も建物も川も、それまでの人生で見てきた色とまるで違って見えるのですにゃ。その土地ならではの色彩を全身で浴びることは、海外旅行の醍醐味にゃ〜。

この本を読んでですにゃ、私は1930年代のアムステルダムに行って、建物をよく観察してみたくなりましたのにゃ。チャペックさんは、「オランダでは、家ではなく、街路が建てられている」(p. 96)と書いて、家と街路の結びつき(窓も重要なポイントにゃね)を指摘しているのにゃ。にゃ〜む…どういうことかにゃ〜。

この本を読んで、「コロナがおさまったら行きたい場所リスト」に、アムステルダムを書き加えましたのにゃ!


この書評は2020年夏に開催された書評コンクールの応募作品です(書評番号3)