2023年3月10日金曜日

ミニ展示 3月10日~17日

 センター入り口で、センター蔵書のミニ展示を行っております。展示期間中も貸し出しをすることができます。どうぞお気軽にご利用ください。


展示中の図書

ひこ・田中『ごめん』偕成社 2002年


卒業シーズンに因み、思春期の物語を選んでみました。春ですね。

ムナーリとレオーニ(30)

1947年

 今回は、1947年の年譜を読む。

この年、ムナーリは3つのグループ展に参加し、グラフィックの仕事としては、「美術作品としてのイタリアの手工芸」展(ニューヨーク、イタリア手工芸館)図録を手がけている。この年から翌年にかけて、「スパツィアリズモ」(空間主義)の普及活動にも関わっていたという。

空間主義を提唱したのはルーチョ・フォンタナ(1899-1968)。残念ながら、フォンタナの作品の実物を見たことはないのだけれど、カンヴァスを切り裂いた作品の写真図版だったら、私も高校生のときに見たことがある。

カンヴァスを切り裂くという挑発的な行為が気になって、『オクスフォード西洋美術事典』で「カンヴァス」を調べてみた。この事典によると、15世紀半ばにパドヴァのマンテーニャや、ヴェネツィアのベリーニなどの画家が、それまで絵画の基底材として一般的に使われてきた板の代わりにカンヴァスを使い始め、その後、時間をかけてヨーロッパの他の地域へと広がっていったという。現在では、西洋絵画と言えばカンヴァスに描かれた絵を当たり前のことのように思い浮かべるけれど、そうではなかった時代の方が古くて長かったことが分かる。カンヴァスが徐々に使われるようになっていった、ちょうどその頃に、建築家のレオン・バッティスタ・アルベルティが、『絵画論』(ラテン語版1435年、トスカーナ語版1436年)のなかで遠近法(透視図法)を論じ、理論化している。

遠近法を用いて描かれた絵は奥行きが感じられ、画面の向こう側にもう一つの世界があるような錯覚を覚える。そのため遠近法は、画面に世界をリアルに再現し、物語るための方法論だと言うことができるのだが、それが理論化されたのと同時期に、板絵からカンヴァスへという変化が始まりつつあった。カンヴァスを切り裂くという行為は、歴史や伝統との対決を表す身振りなのであって、ただの奇をてらった破壊行為ではないのだ。

一方のレオーニだが、初めての個展(ニューヨーク、ノーリスト・ギャラリー)で、油彩画、テンペラ画、水彩画を展示している。図録に掲載されている初個展出品作品は、‘Zingara’(《ジプシー》(※)1945年、カゼインテンペラ・カンヴァス、57×45.5cm)、‘Figlia di Iorio(Oedipus)’(《イオリオの娘(オイディプス王)》1946年、カゼインテンペラ・カンヴァス、38.5×46.5cm)、‘Collana’(《首飾り》1946年頃、油彩・カンヴァス、35×28.5cm)の3点。描かれているのは、寓意的な人物であったり、劇作品の主人公であったりして、物語(語ること、narrative)との結びつきを感じさせる。この年のレオーニは、1年間の休暇を取り、イタリアのカーヴィーで絵画制作に打ち込んだり、ラヴェンナでモザイク技法を学んだりしたそうだ。1938年にファシズムから逃れるため出国して以来、9年ぶりのイタリアである。

 

※「ジプシー(ロマ族)」は松岡希代子の作品解説によると「社会的には差別されながらも、芸術においては自然の中に住む自由な精神の象徴」(『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、p.103)とあります。芸術作品について語るときの「ジプシー」の語は、憧憬も偏見も含んだ多面的な概念を表す用語であり、他に取り替えがきかないこと、そして、この語がレオーニの作品タイトルとして図録に掲載され、既に流通していることを踏まえ、この記事で「ロマ族」ではなく「ジプシー」の語を用いております。ご理解くださいますよう、お願いいたします。

 

【書誌情報】

奥田亜希子編「ブルーノ・ムナーリ年譜」『ブルーノ・ムナーリ』求龍堂、2018年、pp.342-357

「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし

佐々木英也監修『オックスフォード西洋美術事典』講談社、1989年


遠藤知恵子(センター助手)

2023年3月3日金曜日

福寿草と菜の花と猫


今年も大学構内の福寿草が咲きました。

 大学近くの菜の花も見ごろを迎えています。

花粉の飛散もまた、いよいよ本番です。
ご体調にはくれぐれもお気をつけくださいませ。

2023年2月24日金曜日

ミニ展示 2月24日~3月10日

センター入り口で、センター蔵書のミニ展示を行っております。展示期間中も貸し出しをすることができます。どうぞお気軽にご利用ください。

展示中の図書

マイク・ウィルクス『ミラースケープ』

三辺律子 訳 ソフトバンク クリエイティブ 2008年

 

本学非常勤講師の三辺律子先生が訳を手がけられた作品です。

ムナーリとレオーニ(29)

1946年

 この年、レオーニはジョセフ・アルバース(1888-1976)からの依頼を受けて、ブラック・マウンテン・カレッジで夏の講習を行なった。森泉文美「だれも知らなかったレオ・レオーニ」によると、この学校は、アメリカにバウハウスを移植した美術学校の一つだそうだ。夏の講習でレオーニが行なった授業について、「イメージによる言語の構文がどんなものなのか、写真コラージュを通じて学生と考えることを試みました」(206)とのことである(引用文中の「言語」とはもちろん、毎日私たちが喋っている普通の言葉ではなくて、物の形や色といったもので構成されるイメージが、私たちにどんな意味を読み取らせるかという意味での、鍵括弧付きの「言語」だろう)。レオーニが広告デザイナーとして手がけてきた作品の図版は、この図録にいくつも収められていて、写真を使ったものもかなりの数を確認することができるのだが、「イメージによる言語の構文」に、絵ではなく現実の風景を写しとる写真を用いているというのが面白い。

いま私たちの周りに溢れている「写真」は、そのほとんどが、スマートフォンなどで撮影した電子データだから、当時の写真(フィルムに感光させて撮影し、現像して完成する)とはちょっと勝手が違っていそうだけれども、スマホのイメージが溢れかえっている現在の状況を、もしもレオーニが知ったなら、そのイメージからどんな構文を見つけ出すのだろうか…なんて、ちょっと妄想してしまう。

 一方のムナーリは、ミラノのベルガミーニ画廊で「抽象絵画」展という個展を開催し、同じくミラノのチリベルティ画廊で「抽象主義者展」というグループ展に参加している。

 

【書誌情報】

奥田亜希子編「ブルーノ・ムナーリ年譜」『ブルーノ・ムナーリ』求龍堂、2018年、pp.342-357

「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし

森泉文美「だれも知らなかったレオ・レオーニ」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.206-215

遠藤知恵子(センター助手)

2023年2月17日金曜日

梅の花と椿の花

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 大学構内では、梅と椿の花が春の訪れを告げております。

紅梅


椿(紅)

椿(ピンク)

 先月末までは、キャンパス内の池に張った氷の上で鴉が遊ぶ姿を目撃した助手もいたほど、凍てつく様な寒さが続いておりましたが、草木は着実に春の準備を進めていたようです。

  季節の変わり目、お風邪など召されませぬよう、どうぞご自愛くださいませ。

2023年2月10日金曜日

ミニ展示 2月13日~2月24日

 センター入り口で、センター蔵書のミニ展示を行っております。こちらの資料は、展示期間中も貸し出しをすることができます。どうぞお気軽にご利用ください。

展示中の図書

『雪の日にライオンを見に行く』
志津栄子 作 くまおり純 絵
講談社 2023年1月

 今月、ご寄贈いただいた新着図書です。第24回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品ですので、創作にご興味のある方・賞に応募してみたいと思う方も、ぜひご覧ください。