1945年
第二次世界大戦終結の年、レオーニと妻のノーラはアメリカ国籍を取得する。『だれも知らないレオ・レオーニ』には、この頃に諷刺的な意図をもって描かれた水彩画などの図版が収録されている。ヒトラーに対する憎悪を直接的に表したものに加え、伝統的な画題である「スザンナと長老たち」に基づく諷刺画もあって、刺激的で興味深い。
ムナーリの方はと言えば、『決して満足しない』などの7冊の絵本をミラノのモンダドーリ出版から出している。7冊の絵本のタイトルは図録で紹介されている(『決して満足しない』、『トラックの男』、『トントン』、『緑の手品師』、『3羽の小鳥の物語』、『どうぶつはいかが』、『ジージの帽子はどこにあるのかな』(執筆者TM=塚田美紀、p.96))。これらの絵本の掲載図版を眺めていると、シンプルだけど何だかとても楽しくて、とても敗戦から2年目の国のものとは思えない。「日本の敗戦2年目、1947年はどうだったんだろう?」などと考えながら、ひとまず図録を閉じた。
【書誌情報】
「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし
奥田亜希子編「ブルーノ・ムナーリ年譜」『ブルーノ・ムナーリ』求龍堂、2018年、pp.342-357
遠藤知恵子(センター助手)