2019年6月7日金曜日

熊沢健児の気になる企画展 ☆図面にときめく「子どものための建築と空間展」☆

 大都会のビル1フロアを占めるコンパクトなパナソニック汐留ミュージアムと、三内丸山遺跡に程近い広々とした青森県立美術館。「子どものための建築と空間展」は、対照的な二つの会場で順に開催される展覧会である。
 春に行われた東京会場での展示には不覚にも行きそびれてしまった。以下、図録を見ながらこの展覧会の予習をしよう。

 学校は学びの場であると同時に、子どもたちの生活を容れる空間でもある。この展覧会では日本各地の際立った特徴のある学校建築を紹介する。また、その学校空間で子どもたちが触れ、親しんだ教具や玩具、出版物も展示し、子どもたちをめぐる空間の歴史を振り返る。
日頃から「コンテンツ(中身)」としての児童文学・児童文化を研究している私たちにとって、「容れ物」である建築はそれほど強く意識される領域とは言えないのだけれども、解説を読んで歴史を理解しながら図面を見ていると、不思議と胸がときめいてくるものである。このときめきが、未来の子どもたちのための「空間」を創造するエネルギーになるのかもしれない。

 青森会場の展示は夏休み期間中に行われる。東京から青森は遠いが、行けばあおもり犬君に会える。

熊沢健児(ぬいぐるみ・名誉研究員)

展覧会情報
「子どものための建築と空間展」
東京会場 パナソニック 汐留ミュージアム 2019/1/12-3/24
青森会場 青森県立美術館 2019/7/27-9/8

図録の書誌情報
『子どものための建築と空間展』
長澤悟/監修、パナソニック 汐留ミュージアム+青森県立美術館/編
鹿島出版、2019 ※白百合女子大学大学図書館蔵書(523/Ko21

 読みやすく、楽しい図録である。折り丁を糸でかがって綴じてあり、180度きれいにページが開いて戻りにくい。さらに、カバーを外し、折りたたまれた表紙を広げると雑誌『コドモノクニ』の表紙と、表紙と同じ図柄の塗り絵が出現する仕掛けもある。