2021年9月30日木曜日

ムナーリとレオーニ(1)

2冊の図録

10代の終わり頃から美術館に行くのが好きで、新型コロナウイルスが流行する前までは、時間と予算の許す範囲で、気になる展覧会が開催されるたびに電車やバスを乗り継いで観に行っていた。展覧会の図録(カタログ)は、図版を含む作品情報や論文が収録され、資料としてとても便利なのだけれど、大抵の場合、大きくて分厚くて重たい。だから「ここで買い逃したら2度とお目にかかれないかもしれないが、新しく買い足したばかりの本棚ももう満杯になりつつある、さてどうしようか…」などとミュージアムショップで逡巡してしまう。結局、閉館間際になってようやく「ええい、ままよ!」とばかりに1冊、買い求める。しみったれた話で恐縮だが、いつも大体そんな調子だ。

神奈川県立近代美術館で開催されたのを皮切りに、翌年までかかって合わせて4館を巡回した「ブルーノ・ムナーリ」展(2018-2019年)の図録と、板橋区立美術館で開催された「だれも知らないレオ・レオーニ」展(2020年)の図録も、そうしてさんざん迷いながら私の本棚にお迎えした。ムナーリもレオーニも戦前から創作活動を始めており、始めた時期はそれぞれ異なるけれど、ふたりとも絵本制作に携わっている。名前の感じも何となく似ているし、このふたりの年譜を並べて読んでみたら面白いかもしれない。

ムナーリとレオーニが、もしも今の日本のどこかの美術館で二人展を催したなら、どんな展示構成になるだろう。そんなことを考えながら、2冊の図録の年譜を読み始めた。

 

遠藤知恵子(センター助手)