2025年9月19日金曜日

ミニ展示 9月19日~10月15日

 10月15日は、本学児童文化学科で創作の授業を担当された舟崎克彦先生のご命日に当たります。2025年は舟崎先生生誕80年、没後10年の節目の年です。

 2025年度後期最初のミニ展示は、センター蔵書から、舟崎先生が手がけられた絵本や関連書籍をピックアップしました。センターにお立ち寄りの際はぜひ、入り口のミニ展示と、入って右側の壁に掛けられた絵本原画[舟崎先生作『うわさのマメずきん』(あかね書房、1994年)に、長新太さんが描かれた絵]をご覧いただき、先生の思い出話に花を咲かせてください。


【展示中の書籍】

『ネギでちゅ』

舟崎克彦 作・絵

ポプラ社 2003年


 なんでもできるけれど、なんにもしない。玉葱にそっくりの茶トラの猫、ネギちゃんのお話です。


『ギャバンじいさん』

舟崎克彦 作 井上洋介 絵

パロル舎 2006年


 吹雪で狩りに出られないギャバンじいさんの家にやってきたのは、凍えたウサギ。そして、そのウサギを追ってやってきたのは…。さてさて、狩人のギャバンじいさんはどんな行動に出るのでしょうか?


『魔もののおくりもの』

舟崎克彦 作 宇野亜喜良 画

小学館 2008年


 人を不幸にすることに厭きた魔ものは、今度は人を幸せにすることに決めました。魔ものは不幸せそうな少女を誘拐し、少女を喜ばせようとあの手この手を使うのですが…。


『ここにいる』

舟崎克彦 詩 味戸ケイコ 画

ポプラ社 2011年


 こちらは、詩の絵本。大切な人の不在を抱きしめる少女のひとり語りとして、一篇の詩が綴られています。


『現代児童文学作家対談5

那須正幹・舟崎克彦・三田村信行』

神宮輝夫 インタビューア

偕成社 1989年


 神宮輝夫先生によるインタビューに作家さんたちが応えるこの本で、舟崎先生のページを開いて最初に気づくのは、註の多さ(那須正幹さん24個、舟崎克彦先生44個(!)、三田村信行さん29個)。註とは、文章につけてその部分の意味を説明したり、補足したり、あるいは情報の出所を示したりするもので、私たちの論文執筆にも欠かせない重要な要素です。

 どんな作家さんも、現実のあらゆる物事に知的アンテナを伸ばし、それらと自分の創作活動を結びつけながら、いきいきとした物語を綴っていらっしゃるわけですが、そのように伸ばした知的アンテナの数が註の数に影響しているとしたら、舟崎先生は飛びぬけて多くの知的アンテナをお持ちだったのかもしれません。

 白百合女子大学児童文化学科OGにとって「舟崎克彦先生」といえば、入学式にはタキシード、真夏は麻のスーツを着こなし、ママチャリに乗るときはジャージといったように、TPOに合わせてビシッとお洒落に決める、素敵な作家の先生でした。この対談集に収められた写真3点のうちの1点には、豚さんと一緒に『エイリアン』を読む、ワイルドなタンクトップ姿の舟崎先生のお姿があります。これは一体、どんなTPOに合せているのでしょうか…?


 今回のミニ展示でご紹介した4冊の絵本のうち、3冊はそれぞれ、井上洋介さん、宇野亜喜良さん、味戸ケイコさんが絵(画)を担当されています。どの絵本も個性的であると同時に、人間が生きるということに対しての根源的な問いかけを含んでおり、絵とことばが協働してその問いを美しくえがきだしています。センターにお越しの際には、ぜひ、お手に取ってご覧ください。

2025年7月30日水曜日

夏期閉室のお知らせ

児童文化研究センターは、
7月30日(水)から9月18日(木)まで
閉室とさせていただきます。

ご不便をおかけいたしますが、
なにとぞご了承くださいませ。

こまめに水分を補給して
どうかご無事にお過ごしください。

2025年7月24日木曜日

センター入り口の展示替え

展示中の本


『ムーミン谷への旅:トーベ・ヤンソンとムーミンの世界』
株式会社講談社 企画・構成 講談社 1994年

 展示中も借りられます。ぜひお手に取ってご覧ください。
 一緒に展示している、「スノークのおじょうさん」のパペットもご利用いただけます。センターの外に持ち出す場合は、貸し出しファイルにご記入ください。

2025年7月10日木曜日

次回研究会のお知らせ ※終了しました

 第74回「児童文化研究センター研究会 前期発表会」

おかげさまで、大盛況のうちに終了しました

 今回の発表会では、「修士論文中間発表」と「構成員研究発表」を行います。

 学内(白百合女子大学の学生と教職員)の方は予約なしでご参加いただけます。学外の方は、7月28日(月)17時までに児童文化研究センター(jido-bun@shirayuri.ac.jp)までメールでお申込みください。


修士論文中間発表 10:30~14:30(予定)

構成員研究発表  14:40~16:10(予定)

 ※12時から1時間程度の休憩を挟みます。


「構成員研究発表」プログラム

伊藤かの子氏

「上橋菜穂子作品における〈食〉―越境を象徴する食べ物―」


原田優香氏

「親を求める旅から真理に向かう旅へ―『鋼の錬金術師』における「子ども」と「真理」」


鈴木あゆみ氏

「長谷川版欧文図書の製造工程とカレンダーから見える日本の子どもと文化について」


日時:2025年7月29日(火)10:30~16:10(予定)

場所:9012教室(本館地下)


 発表順や開始・終了時刻は当日変更になる場合もございます。ご了承くださいませ。

 皆様のご参加を、お待ちしております。


お誘いあわせの上、お越しください。

2025年6月20日金曜日

センター入り口の展示替え

ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ・完結篇』


ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ・完結篇』(『ミッシュマッシュ』特別号第1巻)平倫子訳、日本ルイス・キャロル協会、2016年7月

※ 展示中も借りられます。ぜひお手に取ってご覧ください。

 今回は、普段は閉架になっている資料のご紹介です。
 『シルヴィーとブルーノ・完結篇』は、『シルヴィーとブルーノ』の続編。商業的出版物としては、まだ出版されていません。『シルヴィーとブルーノ』は、白百合女子大学図書館で柳瀬尚紀氏訳の1976年れんが書房新社版を読むことができます。

2025年6月12日木曜日

新着資料のお知らせ

 『鬼ヶ島通信』80+4号(2025年春号)が届きました。今号では、SFの特集記事が組まれています。

石川宏千花、河合二湖、北川佳奈、くまあやこ、佐竹美保、柴田勝茂の寄稿に加え、はやみねかおるのインタビュー記事も掲載。豪華すぎて、どこから読もうか迷ってしまいますね。

 また、ひこ・田中さんの連載記事では、『メアリ・シェリー「フランケンシュタイン」から〈共感の共同体〉へ』(シャーロット・ゴードン著、小川公代訳、白水社、2024年)からの引用をまじえてメアリ・シェリー『フランケンシュタイン』の制作背景に思いを馳せつつ、ル・グウィンの「ゲド戦記」シリーズに鋭い批判を加えます。

『鬼ヶ島通信』最新号は本日から1週間程度、センター入り口の展示スペース(メールボックスの上)に置きますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

2025年5月29日木曜日

ムナーリとレオーニ(51)

1962年


 毎日の慌ただしさに負けて、ムナーリとレオーニの年譜をひたすら読み続け、書く、というこの連載も、しばらくお休みしてしまっていた。前回は昨年11月末頃に投稿した第50回。半年ぶりに再開したい。

 1962年5月、ムナーリはモスクワへ旅行している。5月から6月にかけて、モスクワのソコーリニキ公園で開催された「イタリア工業の実現物展」の展示プランを監修したとのこと。国際的な活躍をみると気になってしまうのが国際情勢だが、この旅行から約5か月後の10月にキューバ危機が起きている。2024年にアメリカで製作されたA Complete Unknown(ジェームズ・マンゴールド監督、邦題:名もなき者)にも、当時のアメリカ国内に広がる核戦争への恐怖が生々しく映し出されていた。ムナーリはどんな気持ちでキューバ危機のニュースに接していたのだろう。あるいは、もしかして、芸術運動に忙しくて、ニュースなど気にする暇もなかったのだろうか。年譜だけでは分からないことが、たくさんある。
 まあ、それはとにかくとして、この年もムナーリは忙しい。1回の個展と4回のグループ展を行なっているのだが、グループ展のうちの1つ、「アルテ・プログランマータ、キネティック・アート、マルチプル、開かれた作品」展は、アルテ・プログランマータ運動のきっかけと位置づけられるものだ。ジョルジョ・ソアーヴィとともに企画した作品展示で、5月15日からミラノのオリヴェッティ店舗で開始し、7月から8月にかけてはヴェネツィアで、10月にはローマ、翌年6月15日から7月14日にはドイツのデュッセルドルフでも開催している。
この展示に関して、ムナーリはマルチェッロ・ピッカルドとともに記録映像『アルテ・プログランマータ』を製作している。ピッカルドとはその後、1969年の『余波』まで、様々な短編フィルムを共同制作したとのこと。ピッカルドとの製作物は実験映像や広告映像など。年譜に「各地の映画祭などにも参加する」(p.348)とあるので、その後の出来事を少し読んでみたのだけれど、「各地の映画祭」って、どれのことだろう?(わからない。)
 個人的には、オリヴェッティで開催されたグループ展のタイトルにある「開かれた作品」という言葉が気になる。『開かれた作品』と言えば、同年刊行されたウンベルト・エーコの著書である。この辺のことは熊沢健児氏の関心領域なので、彼にこの本についてのリポートを頼もう。最近、体調が思わしくないそうだが、読書や執筆活動が大好きな彼にとって、研究生活を充実させることが一番の薬である。頼めば3~4週間で書いてくれるはずだ。
 なお、この年のレオーニは、タイム・ライフとモンダドーリが共同出版する月刊誌『Panorama』の編集コンサルタントとなっている。役職については、1962年から1963年は編集コンサルタント、1964年から1965年は編集長とある。モンダドーリはミラノの出版社で、1945年にムナーリが子どものための絵本を7冊刊行していた。

【書誌情報】
奥田亜希子編「ブルーノ・ムナーリ年譜」『ブルーノ・ムナーリ』求龍堂、2018年、pp.342-357
「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし

遠藤知恵子(センター助手)