2025年6月20日金曜日

センター入り口の展示替え

ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ・完結篇』


ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ・完結篇』(『ミッシュマッシュ』特別号第1巻)平倫子訳、日本ルイス・キャロル協会、2016年7月

※ 展示中も借りられます。ぜひお手に取ってご覧ください。

 今回は、普段は閉架になっている資料のご紹介です。
 『シルヴィーとブルーノ・完結篇』は、『シルヴィーとブルーノ』の続編。商業的出版物としては、まだ出版されていません。『シルヴィーとブルーノ』は、白百合女子大学図書館で柳瀬尚紀氏訳の1976年れんが書房新社版を読むことができます。

2025年6月12日木曜日

新着資料のお知らせ

 『鬼ヶ島通信』80+4号(2025年春号)が届きました。今号では、SFの特集記事が組まれています。

石川宏千花、河合二湖、北川佳奈、くまあやこ、佐竹美保、柴田勝茂の寄稿に加え、はやみねかおるのインタビュー記事も掲載。豪華すぎて、どこから読もうか迷ってしまいますね。

 また、ひこ・田中さんの連載記事では、『メアリ・シェリー「フランケンシュタイン」から〈共感の共同体〉へ』(シャーロット・ゴードン著、小川公代訳、白水社、2024年)からの引用をまじえてメアリ・シェリー『フランケンシュタイン』の制作背景に思いを馳せつつ、ル・グウィンの「ゲド戦記」シリーズに鋭い批判を加えます。

『鬼ヶ島通信』最新号は本日から1週間程度、センター入り口の展示スペース(メールボックスの上)に置きますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

2025年5月29日木曜日

ムナーリとレオーニ(51)

1962年


 毎日の慌ただしさに負けて、ムナーリとレオーニの年譜をひたすら読み続け、書く、というこの連載も、しばらくお休みしてしまっていた。前回は昨年11月末頃に投稿した第50回。半年ぶりに再開したい。

 1962年5月、ムナーリはモスクワへ旅行している。5月から6月にかけて、モスクワのソコーリニキ公園で開催された「イタリア工業の実現物展」の展示プランを監修したとのこと。国際的な活躍をみると気になってしまうのが国際情勢だが、この旅行から約5か月後の10月にキューバ危機が起きている。2024年にアメリカで製作されたA Complete Unknown(ジェームズ・マンゴールド監督、邦題:名もなき者)にも、当時のアメリカ国内に広がる核戦争への恐怖が生々しく映し出されていた。ムナーリはどんな気持ちでキューバ危機のニュースに接していたのだろう。あるいは、もしかして、芸術運動に忙しくて、ニュースなど気にする暇もなかったのだろうか。年譜だけでは分からないことが、たくさんある。
 まあ、それはとにかくとして、この年もムナーリは忙しい。1回の個展と4回のグループ展を行なっているのだが、グループ展のうちの1つ、「アルテ・プログランマータ、キネティック・アート、マルチプル、開かれた作品」展は、アルテ・プログランマータ運動のきっかけと位置づけられるものだ。ジョルジョ・ソアーヴィとともに企画した作品展示で、5月15日からミラノのオリヴェッティ店舗で開始し、7月から8月にかけてはヴェネツィアで、10月にはローマ、翌年6月15日から7月14日にはドイツのデュッセルドルフでも開催している。
この展示に関して、ムナーリはマルチェッロ・ピッカルドとともに記録映像『アルテ・プログランマータ』を製作している。ピッカルドとはその後、1969年の『余波』まで、様々な短編フィルムを共同制作したとのこと。ピッカルドとの製作物は実験映像や広告映像など。年譜に「各地の映画祭などにも参加する」(p.348)とあるので、その後の出来事を少し読んでみたのだけれど、「各地の映画祭」って、どれのことだろう?(わからない。)
 個人的には、オリヴェッティで開催されたグループ展のタイトルにある「開かれた作品」という言葉が気になる。『開かれた作品』と言えば、同年刊行されたウンベルト・エーコの著書である。この辺のことは熊沢健児氏の関心領域なので、彼にこの本についてのリポートを頼もう。最近、体調が思わしくないそうだが、読書や執筆活動が大好きな彼にとって、研究生活を充実させることが一番の薬である。頼めば3~4週間で書いてくれるはずだ。
 なお、この年のレオーニは、タイム・ライフとモンダドーリが共同出版する月刊誌『Panorama』の編集コンサルタントとなっている。役職については、1962年から1963年は編集コンサルタント、1964年から1965年は編集長とある。モンダドーリはミラノの出版社で、1945年にムナーリが子どものための絵本を7冊刊行していた。

【書誌情報】
奥田亜希子編「ブルーノ・ムナーリ年譜」『ブルーノ・ムナーリ』求龍堂、2018年、pp.342-357
「レオ・レオーニ 年譜」『だれも知らないレオ・レオーニ』玄光社、2020年、pp.216-219 ※執筆担当者の表示なし

遠藤知恵子(センター助手)

2025年5月8日木曜日

センター入り口の展示替え

 春から初夏へと移ろいつつあるこの頃、センター入り口のミニ展示も本を入れ替えました。

展示テーマ 少女をめぐる本6選

森下みさ子『娘たちの江戸』筑摩書房、1996年

シャーリー・フォスター+ジュディ・シモンズ『本を読む少女たち ―ジョー、アン、メアリーの世界』川端有子訳、柏書房、2002年

遠藤寛子『『少女の友』とその時代 ―編集者の勇気 内山 基』本の泉社、2004年

中川裕美『少女雑誌に見る「少女」像の変遷 ―マンガは「少女」をどのように描いたか―』出版メディアパル、2013年

岩淵宏子+菅聡子+久米依子+長谷川啓 編『少女小説事典』東京堂出版、2015年

図書の家 編、石堂藍 編集協力『少女マンガの宇宙 SF&ファンタジー1970-80年代』立東社、2017年


 展示中も貸し出すことができます。お気軽にお手に取ってご覧ください。
 帯をつけたままにしている資料もあります。貸し出し時、帯を破いてしまいそうで怖い人は、センタースタッフにお声がけください。返却まで、センターにてお預かりいたします。

2025年5月2日金曜日

連休中の閉室日

 児童文化研究センターの、ゴールデンウィーク中の閉室日は、5月5日(月)と6日(火)です。ご不便をおかけいたしますが、ご了承くださいませ。
竹とんぼのような、モミジの種子です

2025年4月10日木曜日

猫村たたみの三文庫(非)公式ガイド

この記事は、白百合女子大学児童文化研究センターオリジナルキャラクター「猫村たたみ(ねこむら・たたみ)」によるものです。猫村は、児童文化研究センターの貴重書庫「三文庫」を図書館司書として守り、その魅力を広く伝えるという職務遂行上の理由から、語尾に「にゃ」をつけたいわゆる「キャラ語」を用います。本ブログ記事をお読みくださる皆様におかれましては、キャラクターの性質をご理解の上、猫村たたみの世界観をお楽しみくださいますよう、お願い申し上げます。
猫村たたみ
 皆さま、ご機嫌いかがかにゃ?
 三文庫の守り猫、猫村たたみですにゃ。いよいよ新学期が始まったのにゃね。新学期の大学は賑やかで、私もなんだか楽しいのにゃ~。
 私がお守りする「三文庫」は、白百合女子大学児童文化研究センターの貴重書庫なのにゃよ。三文庫は、「金平文庫(かねひらぶんこ)」「冨田文庫(とみたぶんこ)」「光吉文庫(みつよしぶんこ)」という三つの文庫で構成されていて、それぞれにユニークな来歴と蔵書をもっているのにゃ。世界中でここにしかない資料もあるのにゃよ!
 
 ところで、皆さまはもう、2025年度の目標を立てられましたかにゃ? 私の2025年度の目標は「原点回帰」ですにゃ! 今年度は本についての本をたくさん読んで、司書としての知識に磨きをかけるのにゃ。
 この前、図書館で素敵な本を見つけたのにゃ。タイトルは『本づくりの匠たち』。本づくりに関わるさまざまな「匠」の技を、デザイナーの名久井直子さんが見学して、本を作ったり修理したりする、いろんな名人のお話を聴くのにゃよ。印刷や製本や函作りなどの現場で名人がどんなふうにお仕事しているかを知ることができる、興味深い本なのにゃ。
 たとえば、「小口印刷」。小口(こぐち)って、本の「背(せ)」以外の、紙の切り口が見えるところにゃよ。上の小口を「天」、下の小口を「地」とも呼ぶから、背の反対側の部分を特に指して「小口」と言うことが多いにゃね。辞書などの小口に、「あかさたなはまやらわ」って書いてあるの、あれ、便利にゃね~。ああいうのが小口印刷。小口印刷をする現場の人たちや、そこで使われている機械などを写真で見ながら、名久井さんのチャーミングかつ本づくりの勘所を踏まえた発言や、匠の皆さまとのやり取りを読むのがとっても楽しいのにゃ!
 本を書いた人や装丁をした人、編集した人や出版社などの名前は奥付に書いてあるけれど、インクの色を調節した人や製本をした人、特殊な印刷や加工をした人たちは「縁の下の力持ち」にゃからね~。『本づくりの匠たち』では、滅多に見られない、貴重なお仕事風景を覗き見できちゃうのにゃ!
 そんなわけで、私、この本をとても面白く読み進めていたのにゃ。すると、にゃ…にゃんと! 冨田文庫の資料がこの本のなかの写真に写っていたのにゃよ! 東京修復保存センター(TRCC)さんへの取材なのにゃ!
 この本の83ページで、TRCCの修復現場を見学する名久井さんが「あっ! かわいい表紙がいっぱい!」と声を挙げ、ペーパー・コンサバター(歴史文書保存修復家)の安田智子さんが「白百合女子大学から預かったものですね。明治・大正から昭和にかけての児童書や雑誌です」と応じるのにゃ。そして、89ページの写真には、『小鹿のはなし』の表紙が! これ、冨田文庫の資料にゃよ。
 そうそう、思い出したのにゃ! 文庫の整備をするときには、TRCCさんにたくさんの資料を修復していただいたのにゃよ。錆びてしまったステープラー(ホチキス)の針を外し、放っておくとボロボロになってしまう酸性紙に脱酸性化処理を施したり、クリーニングしたりしたあとで丁寧に綴じ直す、集中力と根気の要る作業をしていただいたのにゃ~。おかげさまで、修復から10年以上経ったいまも冨田文庫の資料は元気に、皆さまの研究のお役に立っているのにゃ。
 
 こんなふうに、三文庫はいろんな人の助けを借りて、大事にだいじに整備された貴重書庫なのにゃ。どうかどうか、皆さまも大切に、そして存分にこれらの資料を活用していただきたいのですにゃ。いっぱい使ってにゃ~!

【書誌情報】
グラフィック社編集部編『本づくりの匠たち』グラフィック社、2011年(※)。白百合女子大学図書館蔵書。
小山賢市『小鹿のはなし』新興出版社、1948年。冨田文庫資料ID:T08440 / T08441。

  • 2015年に、グラフィック社編集部と名久井直子さんがタッグを組んで作った『ブックデザイナー・名久井直子が訪ねる紙ものづくりの現場から』(グラフィック社)が出版されています。『ブックデザイナー・名久井直子が訪ねる紙ものづくりの現場から』では、『本づくりの匠たち』で訪れた活字鋳造の株式会社中村活字と活版印刷の株式会社弘陽に2度目の見学をしており、さらに、東日本大震災を経験した製紙工場での話など、本好きならばぜひとも読んでおきたいトピックがたくさんあります。
皆様も、2025年度は猫村と一緒に、本についての本を読みませんか?

2025年4月2日水曜日

新刊本のお知らせ

『ちりめん本 海を渡った日本昔ばなし Japanese Fairy Tales』

尾崎るみ監修 浜名那奈訳 東京美術 2025年4月

 一家に一冊は持っておきたいような、愛らしいちりめん本の影印本が出版されました。長谷川武次郎が明治18(1885)年に刊行したちりめん本「日本昔噺」シリーズより『桃太郎』『舌切雀』『猿蟹合戦』『花咲爺』『勝々山』『鼠嫁入』『瘤取』『浦島』『因幡の白兎』『竹箆太郎』の英訳版を選び、これら十作品の表紙・表題紙・本文・奥付など広告と裏表紙を除いたページが影印され、各作品の主要な登場人物を紹介する扉が新たに付け加えられています。

 実物よりも一回り大きい、125パーセント程度の拡大印刷がなされており、文字が読みやすくなっているのもこの本の良いところ。匡郭の使い方を工夫した、遊び心あるちりめん本の絵柄が、少し大きめに印刷されてとても見やすくなっています。じっくりと楽しみながら見ているうちに、新たな発見があるかもしれませんね。各作品のイメージカラーを背景色として、和紙のテクスチュアで印刷しているところも、まるで縮緬紙の肌合いを視覚的に再現しようとしているかのようで新鮮です。

 本書に収録された3つのコラムと5つのメモは児童文化研究センター研究員の尾崎るみさんが担当し、「日本昔噺」シリーズ誕生の経緯や、その立役者となった武次郎、このシリーズで活躍した絵師たち・翻訳者たちについて解説しています。日本語訳は同じく本研究センター研究員の浜名那奈さんが担当しています。日本の昔話を異なる言語で読むときの新鮮な感じが、浜名さんの訳文からも伝わってきます。

 本書は4月2日(水)発売。センター入り口にさっそく展示しました。ご来室の折には、是非、お手に取ってご覧ください。